日高から、美味しいユクを全国へ——

 

ユクとは、アイヌ語でシカのこと。日高の大地が育てたエゾシカの、適切に捕獲された個体を受け入れ、ていねいな解体処理、枝肉での長期熟成など、販売するまでの過程に工夫を凝らしています。安心、安全であることはもちろん、食べて感動するとびきり美味しいエゾシカを全国にお届けします。

私たちは「北海道食美樂」です。

ユクとは、アイヌ語でシカのこと──すぐ上でそう書いたばかりですが、もともとはシカだけでなく、キムンカムイ=ヒグマのことも、コタンコロカムイ=シマフクロウのことも、押し並べて「ユク」と呼んでいたようです。それがいつしか、ユクといえばシカを指すようになりました。アイヌの世界では、それだけシカが身近な存在だった、ということなのでしょう。実はこの変化は大和言葉にもあり、いまも鹿威し(ししおどし)や鹿踊り(ししおどり)と書かれるように、本来はさまざまな獣を意味していた「しし」という古語は、やがてシカを指すようになり、そこに鹿(か)の字が当てられたわけです。

日本列島に暮らす人々にとって、最も関わりの深い野生の生き物は、いつの時代にあってもシカでした。古事記や日本書紀に記された宮中での占いには、いつもシカの骨が使われていました。平安中期に編纂された延喜式にも、格式に則ったシカの解体の手順が示されています。私たちは太古の昔から、シカとともに生きてきました。

しかしいま、さまざまな要因から増えすぎてしまったシカを目の前にして、私たちはシカとヒトとの関係性を見つめ直す必要に迫られています。自然の環境には、そこに属する種のそれぞれに対して適正な個体の生息密度があるわけですが、エサが足りなくなった奥山からあふれ出たシカは植樹された若木の芽を食べるようになり、里山の畑を荒らすようになり、近年は大きな被害が出ています。そんな状況に対して、私たちにできることには、なにがあるのでしょうか……。

都市生活者──山から降りてきたシカと出くわすことのない人にもできることが、ひとつあります。それは、食べること。増え過ぎたシカは減らさなければならない。そのためにはシカを捕獲し、殺さなければならない。そして、その行為が維持されるためには、山の恵みであるシカの肉は、適正な価格で流通し、消費されなければならないのです。もちろんそのためには、シカの肉が安心で、安全で、とびきり美味しいものでなくてはなりません。でも、大丈夫です。そこには自信を持っていますから。

北海道の中でも、日高はもともとシカの多い土地でした。そのためにシカが増えるのも、農林業に被害が出るのも早かったのですが、だからこそ、そんな日高の大地から、シカとヒトとの関係性を見つめ直す美味しいきっかけを、全国にお届けしたいと考えています。私たちは、株式会社北海道食美樂です。

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