北海道の命を、全国のレストランへ。「熟成エゾシカ肉」へのこだわり

私たちの「熟成エゾシカ肉」づくりーー熟成という手間と時間がレストランと森をつなげる。

こんにちは、北海道食美樂です。
今回は、会社創立から私たちが作り続けている「熟成エゾシカ肉」のこだわりと、そこに込めた思いについてお話しします。

野生と向き合う覚悟

エゾシカは、私たち人間の都合で飼われた動物ではありません。自然の中で育ち、時に作物を荒らす「野生動物」です。
捕獲の現場には常に緊張感があり、1頭1頭がまったく違う状態でやってきます。
秋に多い150kgを超えるオスジカから、初夏の生まれて間もない子ジカ、ハンターの腕が良く着弾点がよいシカ、残念ながらそうではないシカ、また季節やその年の雪の降り方によっても個体差は大きく変わってきます。
その個体差に真剣に向き合い、どうすれば”最高の状態”のエゾシカ肉にできるかを、私たちは常に考え続けてきました。

熟成の技術と衛生の両立

熟成とは、ただ時間を置いているわけではありません。
まず初めの搬入されたエゾシカの状態確認、剥皮、解体から保管、熟成庫の温度と湿度の管理、肉の状態の見極めに至るまで、すべては緻密な工程と職人の経験によって成り立っています。

北海道食美樂の熟成は、日本で牛肉や豚肉の生産過程で主流の枯らし熟成をベースに、ドライエイジングを組み合わせた独自の熟成です。
・低温管理での雑菌コントロール
・肉質に応じた個体ごとの判断
・職人による個体ごとの食味検査
・そもそも熟成に適した個体であるか否か
年間5,000頭程度のエゾシカを受け入れしています。最も頭数が多くなる6月は1日の受け入れ頭数が30頭を超えることもあります。1頭ごとの個体差を踏まえ、地道な作業を、私たちは“当たり前のこと”として毎日繰り返しています。

なぜなら、その先に「料理人に本気で選ばれるエゾシカ肉」があると信じているからです。

熟成庫のスペック

北海道食美樂の熟成庫は、海上輸送で使用される40フィート(約12.2m)のリーファーコンテナを改造して製作した特注仕様です。内部には、最大で70kg近くにもなるエゾシカの枝肉を安全に吊るすための強固なレールを設置。作業性に優れるだけでなく、枝肉同士の接触を防ぐことで、交差汚染のリスクも大幅に低減しています。

庫内は温度0℃、湿度70〜80%にコントロールされており、衛生面と熟成品質の両立を実現。40フィートのリーファーコンテナの広さのおかげで、1日に20頭の搬入があっても庫内環境は安定し、常に理想的な状態での熟成が可能です。意外かもしれませんが、熟成庫には加温機能もついています。新冠町はマイナス10℃より下がることもあるので、熟成中の枝肉を凍結させないために温める機能が必要となります。

「大量処理」と「高品質熟成」を両立する設備、それが私たち北海道食美樂の熟成庫です。エゾシカの命を余すところなく、美味しさへと昇華させるための、こだわりの一歩です。

熟成によって変わる、香りと旨み

手がけるのは「枝肉での熟成」です。捕獲されたエゾシカを処理の後すぐに脱骨せず、骨付きのまま冷蔵庫で一定期間寝かせることで、余分な水がなくなり、たんぱく質が分解され、旨みとやわらかさが増していきます。

これは、牛肉などでも行われている技術ですが、野生の鹿肉でこのレベルの熟成に取り組む処理場は全国的にも珍しい存在です。
エゾシカならではの熟成方法を編み出すことはもちろんですが、温度・湿度の管理に加え、衛生基準、個体差への対応など、熟成には高度な技術が求められます。

料理人の声が、私たちを育てる

東京、札幌、大阪、私たちの熟成エゾシカ肉は、いくつものレストランで使っていただいています。
あるシェフは「初めてエゾシカでワインのメインディッシュをつくった」と話し、
また別のシェフは「脂の少なさと柔らかさのバランスが、最高の赤身」と表現してくれました。
たどり着いた熟成の度合い(柔らかさ、水分量、旨味)は多くの料理人からのフィードバックの結果です。多くの料理人たちとの対話のなかで、私たちの技術も進化してきました。

北海道の命を、全国のレストランへ

北海道食美樂は、新冠町という町にあります。
都市部から遠く離れたこの地で、私たちは今日も静かに、しかし確実に「命をおいしい肉」を作り続けています。

レストラン関係者の方へ。
試食やサンプル出荷も承っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

次回は「なぜ“野生肉”がうまいのか?」をテーマに、もっとディープに語ります。
お楽しみに!

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